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離婚後の共同親権制度導入!これからの離婚が変わる?

山下江法律事務所

目次

離婚後の共同親権制度導入!これからの離婚が変わる?

 離婚後の共同親権制度が導入されることでこれからの離婚が変わるかもしれません。

 この記事では、離婚後の共同親権制度の是非が検討されるようになった背景、離婚後の共同親権制度導入と裁判所による共同親権か単独親権かの判断基準、共同親権の場合でも例外的に親権の単独行使が認められるとき、離婚の届出の受理規定の見直しや改正民法の施行日と既に離婚して単独親権の定めをしている場合の扱いなど、離婚後の共同親権制度に関する情報を、弁護士がわかりやすく説明します。

  この記事を読むことで、離婚後の共同親権制度に関する知識を得ることができ、離婚を検討している方にとって離婚に向けた検討や準備に役立てることができるだけでなく、既に離婚をしている方であっても、共同親権制度への変更を検討されている方にとって有益な情報を入手することができます。

離婚後の共同親権制度の是非が検討されるようになった背景

 親権とは、子の身上及び財産上の事項を対象とする権利義務のことです。離婚後の共同親権制度は、この親権を、離婚後も父母が共同で行使する制度です。これまでの日本の法律では、離婚後は、父母の一方を親権者として定めなければならないこととして、父母がともに親権者になることを認めていませんでした。これに対しては、父母の離婚後もその双方が子の養育に責任を持ち、子に関する事項が父母双方の熟慮の上で決定されることを確保すべき場合があり、これに対応するための規律が必要であるとして、父母の離婚後の親権に関する規律の見直しを求める意見がありました。

 こういった意見を踏まえ、法務大臣の諮問機関である法制審議会で離婚後の共同親権制度の是非が検討されるようになりました(家族法制の見直しに関する中間試案の補足説明)。

離婚後の共同親権制度の導入と裁判所による共同親権か単独親権かの判断基準

 法制審議会で離婚後の共同親権制度の是非が検討され、民法が改正された結果、離婚後の共同親権制度が日本でも導入されることとなりました。

 離婚後の共同親権制度の導入によって、父母が協議離婚をするときは、その協議で共同親権か単独親権かを定めることができるようになります。もっとも、単独親権にするか共同親権にするかの協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、父又は母の請求によって、家庭裁判所が共同親権にするか単独親権にするかを決めることになります。そして、家庭裁判所が共同親権にするか単独親権にするかを判断するにあたっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならず、虐待やDV等のおそれがあると認められるときなど共同親権にすることにより子の利益を害すると認められるときは、単独親権にしなければならないとされています。

共同親権の場合でも例外的に親権の単独行使が認められるとき 

 これまでの日本の法律でも、婚姻中の父母の親権の共同行使の原則の例外として、「父母の一方が親権を行うことができないとき」に、親権を単独で行使することが認められていました。

 今回の民法改正では、婚姻中や離婚後の共同親権の場合でも、親権を単独行使することが認められるときをケースごとに分けて明確化しました。

 具体的には、まず、父母の一方のみが親権者であるとき(例:親権喪失の審判を受けている場合)、他の一方が親権を行うことができないとき(例:他の一方が音信不通の場合や親権停止の審判を受けている場合)、子の利益のため急迫の事情があるとき(例:入学試験の結果発表後の入学手続のように一定の期限までに親権を行うことが必須であるような場合、DVや虐待からの避難が必要である場合、緊急に医療行為を受けるため医療機関との間で診療契約を締結する必要がある場合)は、共同親権でも例外的に親権の単独行使が認められるとしています。

 また、監護及び教育に関する日常行為をするときは単独で親権を行使することができます。ちなみに、法務省のホームページにおいて公開されているパンフレット(父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました)では、「監護教育に関する日常行為」として、以下のような説明をしています。

【監護及び教育に関する日常の行為】

日常の行為に当たる例
(単独行使可)
日常の行為に当たらない例
(共同行使)
  • 食事や服装の決定
  • 短期間の観光目的での旅行
  • 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定
  • 通常のワクチンの接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可
  • こどもの転居
  • 進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設など)

 さらに、ある重要な事項について父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができ、親権行使者は、その事項について、単独で親権を行うことができます。

離婚の届出の受理規定の見直し

 これまでの日本の法律では、離婚の届出は、父母の一方を親権者と定めなければ受理されませんでした。

 しかし、父母の離婚意思の尊重等の観点から、改正民法では、親権者の定めがされている場合のほか、親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされている場合に、離婚の届出が受理されるようになります。

改正民法の施行日と既に離婚して単独親権の定めをしている場合の扱い

 共同親権制度等が導入された改正民法は、令和8年4月1日に施行される予定です。改正後の民法は、法律の施行前に生じた事項にも適用されますが、改正前の民法の規定により生じた効力を妨げることはできません。そのため、既に離婚して単独親権の定めをしている場合には、今回の改正法の施行によって自動的に共同親権に変更されることはありません。ただし、家庭裁判所は、子の利益のため必要があると認めるときは、子又は子の親族の請求によって、単独親権から共同親権に変更する場合があります。どのような場合に共同親権への変更が認められるかはケースバイケースですが、虐待やDV等のおそれがあると認められるときなど共同親権にすることにより子の利益を害すると認められるときは、共同親権への変更は認められません。

最後に:親権問題でお悩みの方へ

 離婚後の共同親権制度が導入されたことにより、現在、離婚を検討されている方だけでなく、既に離婚をした方であっても、今後、親権問題がどうなるのかについて不安を抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
 当事務所では、日頃から親権問題に関して多くのご相談をお受けしており、一般的な制度の説明にとどまらず、ご相談者様の事情に応じたきめ細やかなアドバイスをするよう努めております。初回は無料相談を承っておりますので、親権問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 

執筆者

渡辺晃子

福山支部/弁護士(現在、産休中です)

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